丹沢の林道修復遅れと縦割り行政における修復の弊害

2019年10月、丹沢のみならず、日本中の山間部などに被害を与えた台風19号。当然ながら、各林道にも大変な被害を与えたのはご承知のことかと思う。

2019年の10月以降、関東、中部、東北などの林道の多くが通行止めとなっており、林業関係者の車両すら走れなくなっていると各地からの報告で明らかになっているところであります。

この状況のなか、林業従事者や登山、あるいは渓流釣りアングラーなどの林道利用者の間で、「これからは、林道が少しづつ無くなるのでは?」と言う噂がささやかれているようです。

一般公道と林道の違いと修復における問題点

林道は、多くが舗装されていないために、一般道よりも整備が簡単だと思われがちだが、じつは違うのだという。

これについての理由は、国道や県道は十分に計画を立て、災害などの被害が少ない場所を選ぶのが普通だが、林道は場所を選ぶことはあり得ない。

とくに、丹沢の多くの林道は沢沿いを走り、今回の19号被害以前にも各地で修復が繰り返され、2010年9月の台風9号による豪雨に伴い、西丹沢が大打撃を被ったのは記憶に新しいところである。

林道の構造上は、急峻な場所を削ったり平坦にして通すのが普通は精一杯で、補強工事がされていることは希で、周囲の地崩れや倒木による被害を受けがち。
 
修復は非常に難しく、一度堕ちた林道を復旧させるには、土壌の改良や鉄骨補強など大規模な工事が必要となります。

しかも工事は、またいつ崩れるか分からない場所でおこなうために、二次被害の恐れを含め、かなりの難工事。
 
復旧には、まず崩落箇所を中心とした測量が必要となり、その上で修復工事をどう行うか計画を立てるのだという。

そこで工事費用概算が算出され、自治体が認めれば、ようやく工事に入れます。

林業用に樹木を伐採・運搬するための作業用道路が日本で一番多く、国有林地を通っている林業用道路がこれにあたり、普通は一般車両は通行禁止となっていることが多い。

林道修復の背景には国と自治体の溝が?

例えば、林業に使われる道は、国有林を走っていることが多く、基本的に林野庁の管轄となるため、国が管理をおこなっています。

一方として、生活道路や観光道路として使われている林道は、各市町村が管理している場合がほとんどで、この管轄の違いが、林道の復旧を遅らせる一つの原因になっているようである。

例えば、丹沢にある某林道が、林野庁が管理する林業用道路で、ある登山口に向かうための観光用道路として併用されていたとします。

この場合、所有は国でも、管理は市町村などの自治体がおこなっているという状況になっているといいます。全国的にも林道は現在、大規模な崩落によって通行止めとなっていますが、復旧の計画はまるでたっていないようで、この原因が、縦割りの行政にあるようなのです。

自治体の役所は、国の判断を待つと言い、国は財政難の自治体の判断を待っているという具合に双方の回答は混沌としてしまうのが現状です。

国の林道修復予算は20年ほど前からどんどん減らされているのは事実。最重要な林道だけを修復している状況にあるようだ。

市町村が国や県を頼りたいところもある状況だが、これだけ広範囲に自然災害の爪痕がある現在の状況では、冷静に優先順位から見ても予算が回ってこないのが成り行きともとれるところではあるのだが。

いずれにしても、2019年10月の台風19号被害から丹沢の崩落被害を受けた各林道の復旧には、かなり時間がかかってしまうのは覚悟しなければならないのが実情のようである。