伊豆イワナは丹沢在来イワナへのヒントとなりえるか?

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現在では、伊豆半島の各河川上流部にイワナ釣り場が存在していることは現在、関東のアングラーではあれば周知されているところではある。

しかし、静岡県の伊豆半島にイワナの生息はないという認識が数十年前であれば一般的な常識であったとボクは記憶している。

1993年6月発行の白石勝彦氏による、「イワナの顔」 においても伊豆半島におけるイワナの生息は否定されていたわけであり、少なくとも30年ほど前はこれが正しい見解であった記憶がある。

なぜなら、リアルタイムで朱点眩い伊豆のアマゴに夢中になっていた頃であり、狩野川水系に通い詰めていたからだ。

この直後であった記憶があるが、天城にイワナを放した者がいるとネガティブな噂に近い話を漁協に関係の近い宿泊施設で聞いた覚えが確かにあるのも事実である。

ボクは、若輩ながらも真夏に20℃に達する伊豆の流れではイワナの定着は不可能と楽観視していたのをハッキリと覚えている。

しかしながら、 今から十数年前には中伊豆の狩野川水系大見川支流地蔵堂川白田川支流の川久保などがメジャーなイワナ釣り場となっていたことに驚きを得ないところで、さらには伊東の松川上流なども最近ではイワナの釣り場として知られてきているほどなのだ。

このイワナ放流についてはゲリラ放流の他、試験的な公的放流があったと付け加えておきたい。

温暖化の中でさらに南下したイワナと丹沢在来種

狩野川水系に限らず、独立小河川に生息するイワナは間違いなく人為的な放流によるところの繁殖であり、間違っても丹沢山塊や富士川水系との交流はあり得ないので間違いはないだろう。

おそらくは夏場に20℃を越えることもしばしばと考えられる伊豆の流れで自力繁殖できるイワナという生物の逞しさに首を垂れる次第ではある。

ただし伊豆半島でのイワナ生息を考えれば、この30年間という地球規模での一瞬きのスパンで考えると今後の定着に疑問を覚えるところでもあるのだが…。

いずれにしても、しがないアングラーの一人としては渓魚の釣り場が濃くなってくれるのは喜ばしい限りだ。

だが、アマゴの里で名の知れた伊豆の渓流群にイワナ出現となればオールドファンのみならず、地元アングラーにとってもこの放流成果によるところのイワナ定着は心中穏やかではないはずだと察するところでもある。

FLYMAN.JP というブログをはじめ、「伊豆 イワナ」などで検索すれば多くの現状が確認できる。

出典:FLYMAN.JP

ところで、この伊豆半島の渓流域に生息するイワナは間違いなく平成の時代に繁殖定着したことは間違いない。

相模川水系中津川最上流域 1100m付近のイワナ

最上流域までアクセスの容易い伊豆半島の狩野川や独立小河川の数カ所とは言っても、人為的な行為により、30年足らずでイワナ生息域が拡大されているのも事実である。

注目すべきは伊豆や丹沢上流域におけるイワナの形骸的な特徴なのだ。

南関東である秩父産の在来種であるニッコウ型のイワナと酷似している点で、これを逆算的に考え、念頭に置きたい。

これは、秩父→丹沢→伊豆と移植放流の形 (公的な試験放流か個人によるゲリラ的な放流、あるいは成魚・稚魚・発眼卵などの手段) は別として、伊豆のイワナが繁殖しているのではないか?

つまり、伊豆のイワナを例にとれば、丹沢にイワナの生息域が養殖や物流の発展に伴う昭和期の数十年で広がった可能性も高いのではないかという点なのだ。

丹沢を流れる各河川最上流部に見られるイワナ達も伊豆半島のイワナ達同様に昭和期に放たれた人為的な繁栄生息と考えるのが妥当という見解に現状でボク自身は達している。

やれ、大正期の震災以前にはイワナの存在はなかったであるとか、確かにあったとか。さらには、道志山塊近くにはヤマトイワナの生息があっただのと丹沢在来イワナの逸話は多い。

ところが、昭和期の30数年前であればまだしも現状では断言できる者など一人としていないだろう。

少なくとも、秩父産在来種との形骸的な特徴を共有する伊豆のニッコウ型イワナが存在しているのは確かである。

回りくどくなってはしまったが、記録の残る平成期に放流され定着した伊豆のイワナが語るものは、昭和期から生息が認知され始めた丹沢イワナがルーツで、さらには秩父産の在来種がベースにあるように思えてならないところであるのだ。

仮説が成り立てば、あくまで個人的なものだが、次のようなことが考えられはしまいか?

① 昭和期に秩父産の在来種イワナの移植放流が丹沢山塊に行われ、さらに平成期に伊豆に移植がなされた。

② 養殖の容易いニッコウ系の養殖イワナを昭和期には丹沢山塊に、平成期に伊豆半島に放流され、立地的に近い秩父産の在来イワナに近い形骸的な特徴を持つものが存在している。

狩野川上流

ところで、地球規模での温暖化といわれる中で氷河期性の生物であるイワナが前述の仮説のように人の手を借りたとはいっても生息域を南に広げている関東のイワナには驚かされるところである。

伊豆半島で生息を安定させ繁殖しているところを見ると、丹沢や秩父のイワナ達もしばらくは滅することなく存在し続けるものと考えられもする。

しかしながら、地域の方々の交流や実釣の中で、在来イワナの存在が丹沢において極めて可能性が薄くなりつつあると感じる中で、今後も今少しばかりは取り組んでみたいと思っているテーマである。

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